連載第4回 田口ランディ Roots源流紀行

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作家・田口ランディさんの連載紀行の第四回目では、岩木山麓で民宿・森のイスキアをベースに残雪の岩木山を登山しました。イスキア主宰の佐藤初女さんの心のこもった料理やまぶしいばかりの新緑など、話題は盛りだくさん!

初女さんは食物の声を聴くことができる人だ。食物の気持ちになって料理をする。

そして初女さんの料理を食べていると、なぜか元気が出るのである。

初女さんは黙っているだけで、相手の心からなにかを引っ張り出してしまうのだ。

「だったら、私の娘になればいいでしょう」>

以来、時おり「森のイスキア」を訪ねては初女さんといっしょに包丁をにぎるようになった。

田口ランディさんと佐藤初女さん。ふたりはまるで親子のように料理をしていた。料理中、話すことはたわいもないこと——子どもの進学の話、実父の話、そして翌日の岩木山登山のこと。ここ、森のイスキアでは、なにをするわけでもない。ひとと話をし、食事し、風呂に入って寝るだけ。ごくごく平坦な日常のリズムのなかに、なにか大きな力を感じてしまうのだ。その力とは……じつは岩木山が、自然が、こんこんと出しつづけるものそのものだった。

冷たい空気ははっかの味がした。体が浄化されていく

あの雪とブナの新緑のコントラストは危険を冒しただけあって、記憶に焼きつく美しさだった

これぞ、岩木山。巨岩だらけだ

自然はただ途方もなく大きく、温かく人間を包み込み恵みを与えるだけ

津軽に住む人たちは岩木山に同じものを感じているのだろう

深い慈しみの心の先に見た、岩木山の自然。そして、その心にあふれた食を通し、田口さんは考える。

たった一人のからだのなかに、時間も国境も信仰も交じり合い超越し育まれ、今、行為となって満ちてくるものがある

第四回源流紀行では、慈愛について思索を深める。

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